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澤口 拓磨; 高井 静霞; 笹川 剛; 打越 絵美子*; 嶋 洋佑*; 武田 聖司
MRS Advances (Internet), 8(6), p.243 - 249, 2023/06
放射性廃棄物の中深度処分では、モニタリング用のボーリング孔内が適切に閉塞されているかを確認するための手法を事前に整備しておく必要がある。そこで本研究では、堆積岩地域を想定し、どのような埋戻し設計条件であればボーリング孔内が有意な移行経路とならないかを把握し、ボーリング孔閉塞に係る確認ポイントを明らかにするため、埋戻されたボーリング孔を有する水理地質構造に対する地下水流動解析を実施した。その結果、ボーリング孔や掘削損傷領域(BDZ)が移行経路とならないための条件として、ベントナイト系材料の透水係数を母岩と同等以下にすること、BDZにグラウトを充填することなどが示された。
Park, Y.-J.*; 澤田 淳; 小堤 健紀*; 田中 達也*; 橋本 秀爾*; 森田 豊*
Proceedings of 3rd International Conference on Discrete Fracture Network Engineering (DFNE 2022) (Internet), 8 Pages, 2022/00
高レベル放射性廃棄物の地層処分の安全評価には地層中の長期にわたる地下水流動と核種移行プロセスの把握が求められる。沿岸部地下環境において、地下水流動は海水起源の塩水と陸水起源の淡水の密度差による複雑な相互作用の影響を受ける。加えて、数百万年の長期においては、海進・海退に伴う海水準変動の影響を受ける。本研究では、そのような沿岸域における亀裂性の結晶質岩を対象とした処分場の地下水流動と核種移行を評価するため、塩分濃度と地下水流速などの地下水環境の長期的な変遷を評価するための広域スケールとブロックスケールを組み合わせた評価フレームを構築した。
長尾 理那; 滑川 麻紀*; 戸塚 真義*; 仲田 久和; 坂井 章浩
JAEA-Technology 2021-009, 139 Pages, 2021/06
日本原子力研究開発機構は、低レベル放射性廃棄物のうち研究施設等廃棄物の埋設処分事業の実施主体となっている。低レベル放射性廃棄物を処分する方法としてコンクリートピット処分を検討している。コンクリートピット施設は、地下水位より深い場所に設計するため、地下水の流れとともに放射性核種が移行すると可能性があると考えられている。そのため、コンクリートピット処分施設の安全性を説明するために、地下水の流れやコンクリートピット施設からの浸出水量を調べる必要がある。そこで、本報告書では、有限要素法による二次元地下水流動解析コード(MIG2DF)を用いて、充填覆土の透水係数やベントナイト混合土の設計等の施設の設計条件を変えた感度解析を実施し、コンクリートピット施設からの浸出水量を算出した。また、長期にわたる管理期間中に発生の可能性があるベントナイト混合土の劣化について考慮した評価も行うこととした。解析の結果、ベントナイト混合土が健全な場合、側部覆土の透水係数を低くすることにより浸出水量が減少していた。このことから、側部覆土の透水係数を低くすることによる浸出水量の低減が可能であることが示唆された。しかし、コンクリートピット施設の上部のベントナイト混合土に劣化が生じた場合、側部覆土の透水性を低くしても、浸出水量の大幅な低減は見られなかった。そのため、コンクリートピット施設の上部のベントナイト混合土に劣化が生じる可能性を考慮し、側部覆土のみではなく、コンクリートピット施設の上部の覆土についても透水性の低い覆土を充填することを検討する必要があると考えられる。
上野 哲朗; 竹内 竜史
JAEA-Data/Code 2017-003, 46 Pages, 2017/03
日本原子力研究開発機構東濃地科学センターでは、「地層処分技術に関する研究開発」のうち深地層の科学的研究(地層科学研究)の一環として、岐阜県瑞浪市において結晶質岩(花崗岩)を対象とした超深地層研究所計画を進めている。この計画は、「地表からの調査予測研究段階(第1段階)」、「研究坑道の掘削を伴う研究段階(第2段階)」、「研究坑道を利用した研究段階(第3段階)」の3段階からなる。研究所用地における第1段階の調査研究は、2002年度から2004年度まで実施され、2004年度からは第2段階の調査研究が、2010年度からは第3段階の調査研究が開始されている。研究坑道内に湧出する地下水については、超深地層研究所計画の「研究坑道の掘削を伴う研究段階(第2段階)」における岩盤の水理に関する調査研究の一環として計測体制が整備されて計測を開始し、2013年度に第2段階が一旦終了した後も、湧水量計測を継続している。本データ集は、2014-2015年度に実施した研究坑道内での湧水量計測で取得したデータを取りまとめたものである。
三枝 博光; 尾上 博則; 小橋 昭夫; 渡辺 将久
Proceedings of 23rd International Conference on Nuclear Engineering (ICONE-23) (DVD-ROM), 7 Pages, 2015/05
東京電力福島第一原子力発電所では、汚染水に関わる問題に直面している。現在、地下水が地下建屋に流入することにより発生する汚染水が連続的に増加している。このことから、発電所敷地内の地下水の流動状態を理解するとともに、地下水を汚染源に近づけないための対策工の効果を予測することが重要である。対策工としては、地下建屋を囲むように設定する陸側遮水壁や、地下建屋の海側に設置する海側遮水壁、さらには地下水の揚水が計画されている。以上を踏まえ、本研究では、計画されている対策工の効果を推定するために地下水流動モデルの構築を行った。具体的には、地下水の涵養域や流出域、地下水の主流動方向、地下建屋への地下水流入量について、対策工を設置する前後の状態を推定した。その結果、計画されている対策工は、地下建屋への地下水流入量を低減するために有効であるとともに、海への汚染地下水の流出を抑制する効果があることを示した。
武田 聖司; 木村 英雄; Moltyaner, G. L.*; Klukas, M. H.*
Proceedings of 7th International Conference on Radioactive Waste Management and Environmental Remediation (ICEM '99) (CD-ROM), 7 Pages, 1999/00
カナダ原子力公社(AECL)敷地内の砂質帯水層において、環境トレーサーであるCl,H及びHeの地下水中濃度が測定されている。不均質な地層中の地下水及び核種移行の評価手法の確立を目的として、600mスケールの塩素とトリチウムの移行を、3次元移流・分散モデルにより解析した。流速場は、3次元地下水解析により推定し、実測データとの比較により妥当性を確認した。分散係数は同サイトで行われた自然水理条件下のトレーサー試験より設定した。推定された流速場及び分散係数を用いた塩素の移行解析を行い、解析結果は、測定された塩素濃度の鉛直分布との比較において、塩素のピーク濃度に対し15%以内の精度に収まった。Hの解析では、地下水中のH/Heの同位体比、降雨中の実測H濃度等から時間依存性のソースタームをモデル化し、600mスケールのH濃度分布を25%以内の精度で評価することができた。
Klukas, M. H.*; Moltyaner, G. L.*; 武田 聖司; Yamazaki, L. S.*; Kozter, T. G.*
AECL-RC-2132, p.1 - 42, 1998/08
地層処分の安全評価モデルの妥当性検討のためには、地質媒体の不均質性を評価し、その地層中の地下水及び核種移行の評価手法を確立することが重要である。そのため、原研とカナダ原子力公社(AECL)との協力研究プログラムに基づき、本研究では、実測された環境トレーサー(塩素、トリチウム)に対する広域的な3次元地下水流動及び核種移行モデルの適用を試みた。このモデルの適用サイトであるレイク233流域では、AECLでの廃棄物処分計画が進行中である。3次元移流・分散モデルの解析結果は、帯水層中の塩素及びトリチウム濃度分布と良好に一致し、3次元移流分散モデルに環境トレーサーを用いた手法の有効性が確認された。
木村 英雄; 松鶴 秀夫; 高野 秀機; 室村 忠純
JAERI-Research 97-049, 25 Pages, 1997/07
使用済岩石型プルトニウム燃料は、一般軽水炉の使用済燃料や再処理を伴う高レベル放射性廃棄物と同様に、地層処分されるものと考えられる。ここでは、環境安全性の観点から、岩石型プルトニウム燃焼法の有用性を示すために、同様にプルトニウムリサイクルを前提とするMOX燃料の直接処分と比較評価を行った。評価解析は、ウラン燃料1トンに相当する使用済核燃料を花崗岩岩体に直接処分した場合について、地下水移行シナリオに基づいて実施し、飲料水摂取による個人被ばく線量を算出した。その結果、岩石型燃料の処分に起因する被ばく線量は、MOX燃料に比べ2桁以上低く、本燃焼法の優位性を確認することができた。
木村 英雄
Journal of Nuclear Science and Technology, 26(7), p.689 - 697, 1989/07
放射性廃棄物地中処分の安全評価において重要なダルシー流速を正確にもとめるため、混合型有限要素法にもとづき、2次元多孔質媒体中における地下水流を解析する計算コードを開発した。この混合型有限要素法は、ダルシーおよび連続の式において、ダルシー流速と圧力水頭を未知数として同時にもとめるものである。数値計算を行った結果、この手法により得られたダルシー流速は、通常用いられる有限要素法にもとづく結果よりも正確な値が得られた。
Teklu, H.*; Elena, K.*; Wang, Y.*; 岩月 輝希; 尾崎 裕介
no journal, ,
本研究では、瑞浪超深地層研究所で実施している再冠水試験の一環で、坑道掘削時の地下水圧及び塩化物イオン濃度の変化を数値計算により推定した。解析を実施するにあたっては、割れ目ネットワークモデルに均質化法を適用することで、割れ目の不均質性を考慮した等価不均質連続体モデルを構築した。予測結果と原位置での観測値との比較の結果、坑道掘削に伴う地下水圧の変化幅は概ね整合したものの、塩化物イオン濃度の変化については観測値との顕著な乖離が認められ、塩化物イオン濃度の変化の再現性の向上が今後の課題であることが示された。なお、本研究はDecovalex2019のTaskCで実施した内容の一部である。